風圧を利用してエンジンをパワーアップ
ラムエアシステムとはラム圧を上げて、より高効率な走行を実現させるための仕組みで、ラムエア(ram-air)とは、衝突する空気という意味です。
では、ラム圧とは何なのでしょうか。
ラム圧とは、走行時の空気抵抗によって生じる圧力のことです。
走行中は空気が車体に衝突します。
この空気が衝突するパワーは、スピードが上がれば上がるほど大きくなります。
この圧力をラム圧といいます。
ラムエアシステムは走行中に車体にぶつかってくれる空気を、エアクリーナーボックスに直接取り入れて、通常の吸気法より高い圧力をかけた空気をエンジンに送り込む装置です。
ラムエアシステムは、もともとは航空機に使われていた技術でした。
それがオートバイにも取り入れられるようになったのです。
オートバイを走らせるエンジンは、ガソリンと空気を合わせた混合気を吸い込んで、それを燃料として駆動します。
速く、力強く走るためには、今以上の混合気が必要な場合もあるのですが、混合気を吸う力が弱いエンジンの場合、必要十分な混合気を吸い込むことができません。
このような状況を助けるのが、ラムエア・システムなのです。
ターボエンジンは吸い込んだ空気をタービンという機械で圧縮させて燃焼させますが、ラムエアでは機械の代わりに空気抵抗によって生じる圧力を使って、空気をエンジンへと送り込みます。
排気量はそのままなのに、ハイクラスへとアップしたような力強さが感じられるのが特徴です。
カワサキZZR1100などがラムエアシステムを採用
ラムエアシステムを採用しているバイクは、フロントカウルに吸気口が取り付けられています。
カワサキのZZR1100やZXシリーズがラムエアシステムを採用し、注目を集めました。
市販バイクとして初めてラムエアシステムを採用したZZR1100は、カワサキのフラッグシップモデルとして、特に欧米で人気を博しました。
また、バイクショップがラムエアシステムを取り入れたカスタマイズ車を開発して販売しているケースもあります。
静岡県のバイクショップ・HSCもその一つです。
HSCが開発したのは、ラムドーピングと名付けられたハーレー用のラムエアーシステムです。
ラムエアーシステムには、キャブレターのオーバーフローや、混合気の割合の制御などが難しいという欠点がありました。
メーカーの純正バイクは電子制御によって作動するコックバルブや、インジェクション機能を採用することで、これらの欠点を克服しています。
しかし、バイクショップではこのようなコストをかけることを不可能です。
そこで、試行錯誤を繰り返した結果、ついにラムエアシステムを採用したハーレーが完成。
スロットルを捻った瞬間に威力を実感し、走れば走るほど加速していく力強さに感動する一台を作り上げました。
ハーレーではゆったりとした速度で走りを楽しむ人も多いのですが、ハーレーでスピードを楽しむ人にとって、HSCが開発したラムドーピングは非常に魅力的に感じられるのではないでしょうか。